【感想】舞台『孤島の鬼』 まるで地獄のような世界
注:原作未読でこれから舞台を見に行こうと思ってる方はこのブログ読まないでください。
舞台孤島の鬼、2月3日観劇してきました。
チケットお持ちでない人はこちらからよろしくお願いします~!
『孤島の鬼―咲きにほふ花は炎のやうに―』 | Nelke Planning / ネルケプランニング
昨年11月21日に石田隼くんがでると決まってからずっと楽しみにしていた舞台でした!
なにせ初演がすごく好評で噂はかねがね…って感じだったし口紅と同じく赤坂レッドシアター!
もうこれは絶対にすごいやつだ!と確信しました。
で、原作を読もうかなぁと思っていたんですけどフォロワーさんに
「原作やネタバレを読まないで初日を見て、レッドシアターの座席から立ち上がれなくなってほしい」
なんて言われてしまったので、これは絶対ネタバレも原作も読まずにいこうと決めていました。
公式ツイッターも原作未読だったりするとよくわからないことも一度舞台みたあとだと写真の見え方がかわってくるカラクリなの本当にすごいしうまいなぁと思いました。
孤島の鬼ー咲きにほふ花は炎のやうにー (@kotounooni2015) | Twitter
そんなわけでここからは殴り書きの感想となります。
原作未読のため筋違いなこともあるかもしれませんがお願いします~!
物語の核心にふれるネタバレもありますのでご注意ください。
あらすじ
箕浦はまだ三十歳にも満たない青年だが、白髪のその容貌はまるで老爺のようであった。
黒髪が全て真っ白になった一夜。その恐怖の体験を、箕浦はひとり語り始める―――。
ある日自宅で最愛の恋人・初代が殺された。自宅の鍵は全てかけられており
侵入の痕跡は見当たらない。
箕浦は過去に自分に想いを寄せていた、学生時代の先輩である諸戸を疑う。
初代の復讐を誓って探偵業を営む友人・深山木を訪ねるが、
彼もまた白昼堂々怪死を遂げてしまった。
事実は箕浦の予想を遥かに上回る残酷さとおぞましさをもって彼らを巻き込んでいき・・・。
今の蓑浦、つまり【わたし】が佐藤さん
昔の蓑浦が石田隼くん 諸戸くんが田中くんという配役なんですけど
諸戸くんは蓑浦くんのことを愛しているんです。
で、蓑浦くんはその気持ちを知ったうえでもてあそんだりもするし、
事件が起こって最初は疑うも、最終的に利用したりするんですよね。
諸戸くんは ただそばにいてくれたらいい 愛してくれなんて言わない、ただ僕が愛すことだけは許してほしい 的なことを言うんだけどさ…
これを全部全部わかったうえで諸戸を利用する蓑浦くんに対してお前!殴らせろ?ってなります。
最初は疑いながらも最終的に一緒に主犯をあばこう!なんて展開になるんですけどね…うんまぁ 苦しい。
洞窟の中で諸戸くんが「一緒に死んでしまおう」なんて言うんだけど、蓑浦くんは「生きる」の人間で諸戸くんは「死」へ向かう人間なのかなと感じました。
でもあの最後の一緒に死んでほしいって言葉は諸戸くんの最後のわがままというか
愛を受け入れてほしいというまっすぐな思いで最後の希望だったように思いました。
でも結局助けがきてしまうんですよね。
蓑浦くんにとってそれは希望で 諸戸くんにとってそれは絶望だったのかなぁなんて。
ここまでもナイフを首元にあてられているような 真綿で首をじわじわ絞められているような感覚で苦しいのだけど
ここからのラストシーンに呼吸ができなくなりました。
ラストはこの怪事件、冒険のあとのそれぞれがどうなったのかの話になるのですが
諸戸くんには本当の家族がいてそっちに引き取られることとなり
蓑浦くんは思い人と結婚して診療所をつくったり、諸戸くんとは手紙でのやりとりをしていた。
そしてある日、諸戸くんの父親から死亡通知が届きます。
そこには諸戸くんは父親の名でも母親の名でもなく、蓑浦からの手紙を抱きしめて蓑浦の名前を呼んで死んでいくんです。
そして残酷な事に蓑浦は診療所の主治医として諸戸くんを招待しようなんて思っていたって語るんですよ。
諸戸くんはずっと蓑浦の事を愛していて狂おしいほどまでに純粋な愛をむけていたのに
蓑浦君は思い人と結婚していて、そんなところで診療所の主治医?残酷すぎません?
もうこの静かだけれども怒涛のラストがあまりに悲しくて涙がとまらなくなってしまいました。地獄かって思った。
思い出してつらくなります。
あの美しい愛も ひたむきな恋も かすかな希望も 全部報われなくて それを蓑浦に利用されて それすらも受け入れる諸戸くんの恋慕……。
でも最後の瞬間まで 諸戸くんは蓑浦くんのことを思うからつらい。くるしい。そばにいてくれれば、なんていうけど そうじゃ、ないじゃないですか。
もしかしたら好きになってくれるかも なんて希望を抱いていて。
だからこそ諸戸くんにとってはあの暗闇の中で人知れず二人で死ぬことが最後の希望だったろうに それなのに あのタイミングで助けがきてしまうんだよなぁ。
神様は意地悪だと思いました。
蓑浦は絶対に諸戸くんを愛さないし恋をしない。
だけれども自分のために諸戸くんの気持ちを利用するんだ。なんて残酷なんだろうか。自分の希望のために諸戸くんの恋心すら利用するし簡単に踏みにじる。
ひどい男だよ 蓑浦くんは…。
恋とは妙なものだし 人間とは悪魔よりも鬼よりも恐ろしい生き物だなと思い知らされました。
終演後 本当に座席から立ち上がれなくなりました。
それどころか涙が止まらなくって呼吸がうまくできなくて、酸素が体をうまくめぐらなくって手足もしびれるような感覚だったし、吐き気もするし…。
たぶん2分くらいは座り込んでました。
会場をでてから「諸戸くんが…諸戸くん…」と自分で言葉にしようとしてもできなくて
諸戸くんの報われないまっすぐな愛の行き場のなさに涙が止まらなくて
本当に蓑浦のことは数発殴らないと気が済まないし この後の人生で不幸にならなきゃ私絶対許さない…ってなりました。
役者それぞれのお芝居が本当にすごくてあの世界にただただ飲み込まれるしかできなくて、情報量が多かったり言い回しの難しさで解釈が難しいこともあったけど
物語がわからないなんてことはなかったし本当に圧倒されて苦しかったです。
原作の展開を知っていたらきっとこんな衝撃的な気持ちにならなかったかもしれない。
なので未読でいった価値はあったなぁと。時間と気持ちに余裕があれば原作よんで行きたいと思いましたし
千秋楽までに読めなかったら 千秋楽後に原作を読もうと思いました。
本当に心の底からすばらしい作品だったなぁと。
隼くんのやっぱり細やかな表情だとかしぐさとかのお芝居がすごく好きだし
色っぽさもあって好きだなぁと思いましたし
なによりテニミュぶりにみた田中くんが美しくて瞳のお芝居が本当に…蓑浦を見つめる諸戸のあの視線が 苦しくて美しいのでぜひ注目して頂けたらなぁと思います。
原作未読なので的外れな事をいってたらごめんなさい…と思いながら
今のこの気持ちを残しておきたかったので書き殴りしました。
まだチケットもありますし気になる方は是非見に行ってください。
あの地獄を体感して欲しいです。